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小児がんとは

小児がんは、小児がかかるさまざまながんの総称です。

主な小児がんは、白血病、脳腫瘍、神経芽腫(しんけいがしゅ)、リンパ腫、腎腫瘍(腎芽腫(じんがしゅ)、ウィルムス腫瘍)などです。血液のがんである白血病やリンパ腫を除き、大人ではまれなものばかりです。胃がんや肺がんなどは、子どもにはみられません。

神経芽腫、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)、肝芽腫など「芽腫」と呼ばれるがんの原因は、胎児の体の神経や腎臓、肝臓、網膜(もうまく)などになるはずだった細胞が、胎児の体ができあがった後も残っていて、異常な細胞に変化し、ふえていった結果と考えられています。大人のがんとは異なり、生活習慣にがんの発生原因があると考えられるものは少なく、網膜芽腫やウィルムス腫瘍のように、遺伝するものもあります。

主な小児がん

小児がんの主なものについて以下の表にまとめました。
 

白血病血液のがんです。小児がんのうち約40%を占めます。

脳腫瘍頭蓋骨(ずがいこつ)の中にできた腫瘍です。白血病に次いで多く、小児がんの約20%を占めます。子どもに多い脳腫瘍はグリオーマ(神経膠腫(しんけいこうしゅ))、胚(はい)細胞腫瘍、髄芽腫(ずいがしゅ)などです。

神経芽腫交感神経のもとになる細胞から発生する腫瘍です。腎臓の上にある副腎や交感神経節(背骨のわき)などから発生します。

リンパ腫リンパ節、脾臓(ひぞう)、骨髄(こつずい)など、細菌やウイルスの排除などの免疫機能をつかさどるリンパ組織から発生するがんです。リンパ組織は全身に及んでいることから、全身のあらゆる部位に発生する可能性があります。

ウィルムス腫瘍(腎芽腫)子どもの腎臓にできる腫瘍です。胎児期にある程度大きくなり、ほとんどが乳幼児期に発症します。

小児がんの割合

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講演会『がんの子どもを社会で支えよう』資料より改編

それぞれの病名は代表的なもので、脳腫瘍には多くの種類があり、ほかの腫瘍も全身のあらゆるところで発生するため、細かく分類されています。治療法も、がんの種類や場所によって、それぞれ異なります。

小児がんの治療

現在、小児がんは、手術治療、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療、造血幹細胞移植などを組み合わせて治療します。

小児がんは発見が難しく、がんの増殖も速いのですが、成人のがんに比べて化学療法や放射線療法に対する効果が極めて高いのも特徴です。ここ数十年の医療の進歩で、現在では70~80%が治るようになってきました。

小児がんは、以前は『不治の病』とされてきましたが、1950年代にはそれまでの手術療法に加えて放射線治療が、1960年代には薬物療法(抗がん剤)が治療に効果があることがわかり、その後、多剤併用や増血幹細胞移植が適用されるようになって、総合的に治癒率が向上してきました。

小児がんは、数が少なく種類が多いため、症例の多い病院での治療が必要です。

小児がんの治療の変遷と生存率

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講演会『がんの子どもを社会で支えよう』資料より改編

年齢別子どもの死亡原因

わが国では年間2,000~2,500人の子どもが小児がんと診断されています。子ども10,000人に約1人の割合です。
以下はこどもの死亡原因を年齢別に示しています。4歳までは先天異常が死亡原因の1位ですが、それ以降は事故などの病死以外の原因を除けば、がん(悪性新生物)が死亡原因の1位です。

年齢別子どもの死亡原因

1位

0歳

先天奇形、変形及び染色体異

1-4歳

先天奇形、変形及び染色体異常

 

5-9歳

不慮の事故

10-14歳

悪性新生物(がん)

全人口

悪性新生物(がん)

厚生労働省 人口動態統計 上巻 5-17表 性・年齢別にみた死因順位 2012年

 

晩期合併症と長期フォローアップ

子どもは発育途中にあるため、治療の合併症がその後何年も経ってからあらわれることがあります。これを晩期合併症といいます。晩期合併症には成長・発達、生殖機能、臓器機能、二次がんに関するものなどがあります。詳しくは「長期フォローアップと晩期合併症」をご覧ください。
そのため、治った後も年齢に応じた長期にわたるフォローアップが必要です。治癒後、定期的な受診をしていきます
小児がんでは治癒後も、晩期合併症においてはチーム医療が、生活面や教育面では社会的なさまざまなサポートが必要とされています。

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